内側半月板と外側半月板の違い

― 痛み方・壊れやすさ・身体の使い方まで ―

 

半月板損傷と一言で言っても、

「内側半月板」なのか「外側半月板」なのかで、

痛みの出方も、壊れやすさも、対処の考え方も大きく変わります。

実際の臨床でも

 

「同じ半月板損傷と言われたのに、経過が全然違う」

というケースは珍しくありません。

 その違いの正体を、今回は分かりやすく解説していきます。

まず結論:一番の違いは「動きやすさ」

👉 内側は壊れやすく、外側はトラブルが派手になりやすい

これが大枠の理解です。

内側半月板の特徴

◾️ 解剖学的なポイント

脛骨内側顆に強く固定 内側側副靱帯(MCL)と連結 可動性が低い

つまり、

👉 「逃げ場がない半月板」

◾️ 内側半月板が損傷しやすい理由

捻じれストレスを受けやすい 加齢による変性の影響を受けやすい 日常動作(立ち上がり・階段)で負荷が集中

そのため、

中高年 明確な外傷がない いつの間にか痛くなった

こうしたケースでは内側半月板が関与していることが非常に多いです。

◾️ 内側半月板損傷の症状傾向

膝の内側の鈍い痛み 動き始めが痛い 正座・しゃがみで悪化 慢性的に続きやすい

👉「なんとなく治らない膝痛」の正体になりやすいタイプ

外側半月板の特徴

◾️ 解剖学的なポイント

脛骨外側顆との結合が緩い 膝窩筋腱が関与 可動性が高い

👉 「よく動くが、その分トラブル時は厄介」

◾️ 外側半月板が問題になるケース

スポーツ中の急な切り返し ジャンプ着地 前十字靱帯(ACL)損傷と同時

若年者・運動量が多い人に多いのが特徴です。

◾️ 外側半月板損傷の症状傾向

膝の外側の鋭い痛み 引っかかり感が強い ロッキングが出やすい 腫れが目立つ

👉 症状は急性・劇的になりやすい

筋肉との関係の違い

◾️ 内側半月板と関連が深い筋

内側広筋(VMO)

内転筋群

ハムストリングス内側(半膜様筋)

内側支持機構が崩れると

→ 半月板に直接ストレスが集中

◾️ 外側半月板と関連が深い筋

膝窩筋

大腿筋膜張筋(TFL)

ハムストリングス外側(大腿二頭筋)

特に膝窩筋の機能低下は

外側半月板トラブルの見逃されがちな要因です。

神経・身体全体から見た違い

内側半月板タイプ

骨盤の前後傾アンバランス

股関節内旋制限

足部の過回内

👉 姿勢・荷重パターン由来

外側半月板タイプ

体幹の回旋制御不全

股関節外旋優位

急激な方向転換癖

👉 動作・運動制御由来

対処の考え方も変わる

内側半月板

炎症コントロール

荷重バランス修正

筋持久力・安定性重視

外側半月板

動作修正

瞬間的な制御力改善

過剰な緊張の解除

同じ「半月板損傷」でも、

真逆のアプローチが必要になることもある、という点は重要です。

まとめ

内側半月板:動きにくく、壊れやすい、慢性化しやすい

外側半月板:動きやすいが、損傷時は症状が強い

痛みの場所だけでなく「身体の使い方」が鍵 膝だけを見ない評価が回復を左右する

参考・引用文献(クレジット)

1.Kapandji, I.A. The Physiology of the Joints, Volume 2: The Lower Limb. Churchill Livingstone

2.Neumann, D.A. Kinesiology of the Musculoskeletal System. Elsevier

3.Magee, D.J. Orthopedic Physical Assessment. Elsevier

4. Standring, S. Gray’s Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice. Elsevier

5.Fox, A.J.S. et al. “The basic science of human knee menisci.” Sports Health

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